2006年08月19日

忘れられない事

今日はずっと気になっていた以前働いていた職場を覗いた。
一緒に行ってくれたのもそこで一緒に苦労や悲しみを共にしたUさん。
気になっていたのは私達が職場で世話をしていた
可愛くてそして可哀想な犬達・・・

そこのオーナーが居たら絶対店に入らないと思ってた
二度と最低最悪・非人間的なオーナーの顔など見たくなかったから。

でもこっそり店を覗いた私達を待っていたのは、知らない顔ぶれの
スタッフと会いたかった子達だけ。想いが届いたみたいにぴかぴか(新しい)

お客としてお金を払って動物にふれあう
以前スタッフとして世話をして可愛がっていた犬達と。

店に入って直ぐに驚かされた。
入って来た人間を瞬時に見極める犬の鋭い直感?洞察力?
じーっと私達を見つめてる。
目の前にいる1頭の子の名前を呼ぶと、1声で1年前に戻った様に
私達を思い出してくれた!

立ち上がってしっぽをこれでもかと言うくらい高速で振って、
小さい体でサークルをグイグイ押して体を擦りつけてくる。
同時に他のサークルやリードで繋がれた犬達が一斉に鳴き出す。
他のお客さんがこの反応にとても驚いて私達を見つめてる。
小学生位の子供が「この子達お姉さんにすっごい懐いてる!
お姉さんここの常連さんなの?」と聞いてきた。
おかしかったけど「そーなの」と答えた。

毎日色々な人達に触られ続ける犬達が、お客さんに嬉しいという
感情表現をする事など滅多にしないのはわかってる。
皆が私達をちゃんと思い出してくれたのは一目瞭然だった。

セナとルイが我が家に里子として引き取られる前に兄妹の様に
仲良くしていたダックス達にも再会。
猛烈に喜びを体中でアピールして傍から離れようとしない。

始めは5頭いたダックス達、その中で引き取れたのは2頭。
皮肉な運命
セナは皮膚病だったからこの場所には必要なかった・・・
ルイは神経質でうるさく噛みつくからこの場所には必要なかった・・・

そうでしょう?自分達は愛犬家だと豪語していたオーナーさん。

私がこの仕事についた時、狂犬だと思っていたダックス。
目に入る全ての人間を敵視し威嚇して、常に吠えまくり歯を剥いてた。
常に陽の光の当たらない場所に1頭だけ追いやられサークルから
出される事はほとんどなかった。

でもその子はノアにそっくりなB&Tのダックス。
だからいつでもその子が気になって、いつか私に懐いてくれたら・・・
ってずっと思ってた。

家からガムやジャーキーを持ってきて毎日こっそりあげて
声をかけ続けた。
お日様が出てる時は外にタオルを敷いて日光浴をさせた。
他の陽気でフレンドリーなダックス達と恐る恐る一緒にしてみた。
♀の子に乗るから引き離そうとして、深く腕を咬まれたけどね。
きっと他の子との遊び方・接し方がわからなかったんだよね?
でも楽しそうに5頭で追いかけっこしてその姿は忘れない。

うんちの出が悪くていつも長時間苦しそうに踏ん張ってた。
見た目もベタベタ、全身から酷い悪臭
それは咬むし客の前に出さないからと誰にも洗って
貰えなかったから。
オーナーのやり方・人間性にに耐えられず次々とスタッフが
代わるから。
最後にいつ洗ってもらったのか誰一人知らないなんて・・・
私はトリマーとしてではなく、どうしてもこの子を綺麗にしたかった。
だから咬まれるの覚悟でシャンプーした。

シャンプー最中、目は何をされるのかと常に怯えていたけど
結局私を咬む事は1度もなかった 咬むチャンスは沢山あったのに。
タオルで体を拭く時はタオルにジャレついてどうしようもなかった。
ドライヤーも怖がるどころか喜んで、私の口をペロペロ舐めたのは
それが最初で最後。

日に日に私にうち解けて私が目に入ると吠えて呼んだり、
甘えて抱っこをせがんだりしてきたノア似のダックス・・・

それから何日も経たないうちに姿を消した。

私が休みの日のUさんからのメール。
「オーナーが病院に連れて行きました。でも本当の所は・・・
病院と言って保健所に連れて行く人みたいだし・・・」

私は一晩中泣いた
あの時の複雑な嫌な気持ちは絶対忘れられない。
私はただ泣き崩れただけ。
あの子を救ってやれなかった・・・

次の日オーナーに尋ねた。あの子がどうしていないのかと。
「肛門腺が溜まったせいでうんちがでなかったんだ。だから入院させた。ご飯も食べたみたいだし、 大丈夫だよ」とオーナーは言った。
その時ほっとした私は本当にバカだった。
飄々と笑いながら嘘をつける人間に騙されたのだ。

あの子は2度と帰って来なかった。
肛門腺の手術なら数日で帰ってくるでしょう?

いつかあなたが「頭がおかしいのに可哀想だからブリーダーから
引き取ってやった」と言って蔑んだあの子は、
初めから人間が嫌いだった訳ではないのです。
鋭い目で人間を見据え牙を剥くのは自分を守る術が
他になかったから。
でも私達には信頼の目を向けてくれました。
そんなあの子は何処へ行ったんでしょう?オーナーさん。

私の腕に残った牙の痕は人目に触れる事なく生きてた君の証。
見る度に思い出すよ、ちゃんと君の事を・・・
傷痕を人に聞かれたら話すよ、ちゃんと君がこの世に居た事を・・・

「犬が大好き」と簡単に言うだけの私に、大切な事を考えさせる機会を
与えてくれたのはたった1ヶ月のつき合いの『ポッキー』だった。


こんな事になるのなら・・・って今更だけどずっと心残りで仕方ない。
だからセナとルイを引き取った。
犬達を心配してくれた人達の協力で2頭は救ってもらえた。

あそこにいて一番辛かった事は、もうこんな所には居られないと
Uさんと同時に辞める決断をした時。
見捨てる様であの子達にお別れするのが本当に辛かった。
2人で泣きながら一つ一つのゲージを開けて犬達を撫でて・・・
あまりに自分は非力でその時もただ泣く事しか出来なかった。

セナを引き取ってからあと2日で丸1年。
なんだかとても感傷的な気分になるのは私だけではないみたい。
たった3ヶ月だけど普通では考えられない色んな事を一緒に
経験したUさんも同じ様。
犬が好きで犬と関わる仕事に就いて、犬が好きだから
もうこの世界には居られないと思った私達。

後ろ髪を引かれて店を後にしたけど、これから先ずっと忘れる事が
出来ないのも一緒なんだろう・・・

「またいつか犬と関わる仕事がしたい」なんて思える時は
来るのかな?

世の中に涙さえ流してもらえない最後を迎える子は
一体何頭いるんだろう。。。



ニックネーム みんく at 23:23| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする